風薫る5月

 

◆2005年5月

 世の中は大型連休。とりわけ5月の3連休はまさに行楽日和という好天にめぐまれ、当店の「閉店効果」という特殊要因をもってしても、来店客数が少なくなってしまう。これが、ふつうに営業している状態だったらと思うと、背筋が寒くなる。もっとも、うちの状況がすべての「街のお化粧品やさん」にあてはまるわけではないのだけど・・・。暇なので昨年の日記を繰っていたら、去年の5月4日は、昨年1年間でもっとも暇だったことがわかった。くもり時々雨というお天気だったと日記には書いてある。それなのに台風に直撃された日よりも数字が上がらなかった「2004年最悪の日」だったようだ。それも曜日は火曜日と定休日明けだったというのに。

 4月いっぱいでネットのショッピングサイトを閉鎖した。こちらはあまり駆け込み需要はなく、静かに幕を閉じることになったけれど、いくつか「完売」に持ち込めたのが助かった。5月1日、朝早くに起きだして、サイトのメンテナンスを行った。ショッピングサイトを完全に削除するのにあわせ、化粧品やサプリメントの商品そのものに関わるページを全部削除したので、ビューティコラム中心のサイトとなって生まれ変わった。もちろん、日記は残っている。

 ページをどんどん追加するかたちでサイトを運用してきていたので、「プレゼント企画のページ」など今はページがないのに画像だけがアップロードされたままになっているケースも多くなっていたので、今回は小手先のファイルの入れ換えではうまくいかないものと考えて、一旦アップロードされているファイルをすべて削除して、ファイルをアップロードし直すかたちでメンテナンスした。一部のcgiファイルのパーミッション数値に設定のし直しが生じた以外は順調に作業が完了してホッと一息。

 2日の月曜日には、税務署に出かけてお店の廃業に伴う税務上の手続きのことを尋ねてきた。連休の谷間で年休を取っている人も多いのか、空席の目立つ署内だった。応対してくれたのは、新人とおぼしき男の子。標準的な手続きの部分については、よどみなく答えてくれたものの、うちの特殊事情(制度品業界ならではの在庫引き揚げや、支店の独立)となると、途端におぼつかなくなる。。「ちょっと待ってくださいね」と席を立つこと4度。もういいから、相談にいっている先の上司(?)、あるいはベテラン職員さんをここに連れてきたほうが早いんじゃないのって言いたくなってしまう。「仏の顔も3度まで」だよね。

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自宅の建て替えは・・・

 ゴールデンウイークでも住宅メーカーの営業さんたちは3連休以外は休まないで働いているようだ。2日の月曜日、残った3社のうちでもっともプランの完成度が高くなってきているA社のSさんが訪ねてきた。

 先日来、こちらが希望してきていた間取りをほぼイメージどおりにパースに描いてきてくれた。一部、手直しの希望は伝えたが、ほぼわたしたちの思いが具現化しつつある。これまでと違ってきょうのパースは、クリアファイルブックに収められていた。

 クリアファイルブックには、間取りや立面図といったプランだけでなく、さらに一歩踏み込んで、外構工事の明細や、付帯工事の明細、標準仕様に含まれる本体の設備の明細が添えられていた。ということは、いよいよ全体の事業についての総見積もりがでてくるということだ。

 こまごまとした説明を受け、さらに優遇金利がでてきそうだというファイナンスの現況も聴き、エアコンも有名メーカーの最新機種がかなり安くとりつけられるという話も聴いたあとで、いよいよ最後のページが開かれ、その金額が示される。事前に、調達できる自己資金のこともローンにより調達する金額の目安も伝えてある。つまり、こちらとしての総事業費に対しての考えは伝えてあるということになる。

 はたして、示された金額はその「心づもり」を1割ちょっと上回っていた。もともとの金額が金額だけに、1割といえどその金額たるやハンパなものではない。Sさん曰く、「ここで示したものは最終ではない。この仕様の中で、不要なものはカットしていけば若干は下がってくるし、クーラーの台数でも変わってくる。こちらでも、今ある建物の取り壊し費用など、外に出している部分の値引きをもっと求めるし、うちとしてもまだまだお値引きができないかと調整をしています。」ということだ。

 さぁ、ここからが営業とクライアントの丁々発止というところ。いちばん先行しているとはいえ、「まだおたくにお願いすると完全に決めたわけではないし・・・。」と牽制球は投げてみるが、見学会に行ったわたしはもちろん、モデルルームをいっしょに見にいった妻の気持ちもこの会社に傾いていることは、きっと感じ取られていることだろう。

 でも、どこのメーカーとおつき合いするかを決めることという以前に、わたしたちだけの思いだけでは「GO」サインを出せないという事情が厳然と横たわっている。そんなケースは今までどれだけ見てきたことかとSさんは笑っているが、これはなかなかにして難関なのである。

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思い切って・・・

 総事業費までがでてくるに至っては、いつまでも簡単には「GO」サインがだせないなどと言ってはいられない。おそらくどこかで誤解を産んでいるだけだろうとは思っているのだが、ここはもういちど意を決して、じぶんたちの思いを母に伝えようということにした。この「人生設計図」でも恥を忍んで何度も書いてきたが、母と妹には、すべてを「伊藤家5人」にとってよかれという思いで進めているのだというわたしたちの思いがキチンと理解されていないようなのだ。これ以上はさすがに書かないが、久々に眠れない夜を過ごしたりもした。

 3日の朝はさわやかな五月晴れだった。絡んだ糸を解きほぐすように、お店を閉めるに至った経緯からはじめて、新たなフィールドに踏み出そうとしていることについての思いも、そして自宅の建て替えに「どんな思いで臨もうとしているか」をゆっくりと語っていく。

 やはり、母は誤解をしていたようだ。最初に話したときの「賃貸併用住宅」というプランがとてもイヤだったようだ。わたしたちだけが快適な暮らしを実現したいと考えているわけではないので、父が建ててくれた1階に住める今の平屋の住宅をどうしても壊したくないということなら、この計画そのものはなかったことにする。と心に決めていたので、それを明言をしたけれど、伊藤家の5人が(わたしは単身赴任となるけれど)一つ屋根の下で快適に暮らせる住まいを実現したいのだという、わたしたちの思いをキチンと受け止めてくれた。

 話しはじめるまでは、玉砕覚悟、あたってくだけたらしかたないという思いでいた。話しはじめてからは、いろいろなことを思いだしてほんとうに久々に悔しくて涙を流したりもした。でも、無理にとは言わないがと言ったにもかかわらず、今、考えている間取りにも目を通してくれ、今までと同じ1階での暮らしを実現したいというわたしたちの考えには「これはいいわ」と賛意をも口にしてくれた。

 ただ、それはこれからもわたしたちに厄介にならなくちゃいけないという「負い目」から「NO」とは言えなくて、そう言っているのかもしれないとも考える。素直に手放しで喜ぶとあとで足許をすくわれかねない。しばらくゆっくり考えてまた返事を聴かせてほしいと、きょうのところはひきとる。疑心暗鬼にならざるを得ないのもなさけないが、でも、妹から聞かされていたような母の拒否の思いの強さは感じられなかった。単に誤解というか賃貸経営を心配をしていただけというように感じられて、「案ずるより産むが易し」だったという感触だった。これで、一気に事が進み出すのだろうか・・・。

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営業って・・・

 3連休が明けて、S社の営業担当者から「先日お聴きしたご希望を採りいれた間取りのプランができたのでいちどごらんいただきたい」と電話が入る。ここは、どうもわたしたちの思いをうまく聞き取ってくれていないので、候補からははずれてきている。そこで、ご縁がなかったということで・・・とやんわりとお断りしようとすると、「どこかにお決めになられたのですか」と突っ込んでくる。となれば、ハッキリ言ったほうがいいかと「じつはA社さんにお世話になろうかと思っていて」と話すと、途端に声のトーンが変わる。おそらくもっともライバルとして気にかけているメーカーなのだろう。

 せっかく間取りのプランも用意しましたし、悪口ではないですがお考えになっていらっしゃる会社の営業さんが決して口にしない「事実」もお話ししたいのでと、なかなか強硬である。まぁ、情報の引き出しはいっぱいあるにこしたことはないしと、もういちど来てもらうことを承諾したわたしである。

 とりあえず間取りをと拡げられたそのプランは、やっぱりわたしたちがくり返し話してきた希望をじゅうぶんに反映したとはいえない代物だった。妻は、見るなりこれはダメだという目線を送ってよこした。もっとも、きょうのS社さんの目的は、間取りを見てもらうということよりも、A社と自社の違いを語ることに尽きるのだから、そんなことはお構いなしにYさんは熱弁をふるう。

 「べつに他社のことを非難しようとか中傷しようというわけではないのですが、事実は知っていただきたくて」とは何度もくりかえすのだが、結局は、同業他社のことを思い切りこき下ろす内容に終始、そして、いかに自社が優れているかということを得々と語っていった。いい面ばかりじゃなく違う角度から見た情報は、判断を下す上で役に立つからと、はじめはまじめに話に耳を傾けていたけれど、だんだん辟易としてきた。

 A社の将来的なメンテナンス費用は、カタログとは大違いという「事実」を得々と語ったけれど、「どこも同じようなものとお考えかもしれませんがうちは違う」って言っていた他の事柄と違って、この件については明確に自社のほうが優れているとは断言せず、ほらやっぱり「どこも大した違いはない」ってことじゃんと思いはじめる。熱く語れば語るほど、これって逆効果じゃないのかなぁって気がしてきた。

 ところで、この間取りで建物自体は、ざくっとどのくらいで建つのですかと尋ねると、えっと驚く金額を口にした。さすが「自信」があるだけのことはあるし、うちはすべてが標準仕様で、ここからオプションでどんどんと増えるということはありませんしとは言うけれど、ちょっとビックリした。それに気づいたのか、あわててあくまでザクッとしたもので、もっとお値打ちになるとは思いますと弁明したが「後の祭り」。

 最後になって、間取りの感想を求められたが、妻がひとこと「わたしたちがお話ししてきたことが全然書き込まれていない」とピシャリ。先ほどまでの自信満々の姿勢から一転、もういちど教えていただけないかと低姿勢。それをキチンと描いてきますので・・・と帰って行ったけれど、あまりいい気分はしなかった。

 以前にも書いたけれど、やっぱり「人」なのだろう。A社のSさんには最初に訪ねてきてくれたときから、資金面の考え方などもいろいろ教えてもらったり、うちの特殊事情などにもそんなことは山ほどありますからと気持ちを落ち着かせてもらったりした。絶妙のタイミングでモデルルームに妻を誘ったこととか、全体の資金計画の持ち出し方など、彼のペースで「営業」されているということは間違いがないが、それを許すというか、それがイヤにならないというのが、営業の資質なんだろうなぁ・・・。

 そのS氏は、8日にまた訪ねてきてくれた。肝心の話に入る前に、先日話していた東京での住まいについて、まわりの東京出身者や東京での単身赴任経験者にリサーチした結果を話してくれる。わたしがこれまで乗り換え回数が少ないからと考えていたのは小田急沿線だったのだが、とにかく小田急のラッシュはすごいということと、住宅地として古くから人気があるので相場が高いということから再考したほうがいいとアドバイスをしてもらう。ちょっとはずせば、同じ予算でもっと間取りのゆとりある物件があるはずとも・・・。些細なことかもしれないが、これも「人」のなせるワザ、そして営業の「資質」なんだろう。

 さて、きょうのほんとうの案件は、前回の手直しを図面に落とし込んでくれたものを見ることと、値引き額の増額など、総事業予算の見直しを示してもらうことだった。安くなったといっても金額的には微々たるものであるので、まだまだ当初の希望金額とは開きがある。でも、A社はそろそろ決めにかかっている。そして、わたしたちも決めにかかろうとしている。そのタイムリミットを、こんどお世話になるI社と9日〜10日にかけて行う事業計画作成のすりあわせと、条件提示から帰った次の週末に設定した。いよいよ「天王山」だ。

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