これが最後のチャンスか

 

◆2005年1月14日

 ことし最初の上京。きょうの用件は、全国の加盟組合員のデータベースをどう運用していくかという打ち合わせ。今まで担当してくれていた派遣社員さんが退職(正社員として就職とのこと)されるので、新しく来てもらうことになった派遣社員さんとの引き継ぎに同席して、あわせて今後のメンテなどの運用について方針を決めようということだった。

 ここまでの関わりかたの行きがかり上、わたしに声がかかったのだけど、厳密には昨年委員会編成が変更になっていて、わたしが担当するということが決まっているわけじゃない。この件の立ち上がりから今日までのすべてを知っているのだから、業務の連続性を考えればこのタイミングで打ち合わせに加われるのはキミだといわれれば、断る理由はないのだが、こうして「既成事実」が積み重ねられていくと・・・(苦笑)

 夜は、昨年の年次大会のお疲れさん会を兼ねた新年会。事務局のメンバーとイベントプロデュースの会社の方、旅行代理店の担当者で、わいわいと盛り上がる。ことしの大会は福岡での開催、日にちも会場も決まった。さて、その内容構築は・・・と誘い水を向けられる。もともと嫌々やっているわけではないのだから、請われれば進んで関わってしまいそう。ただ、大会参加者の立場から見たら、3年も同じ人間が壇上にいるというのも妙なものだろう。ならば、プロデューサー的な関わりかたもありか・・・と考えてみたりする。

 ただ、秘めたる全粧協からの「足ぬけ」の思いは、F社に振られた今、逆に強くなっているのを感じる。わたしの仕事ぶりをよく知ってくれているあの会社なら・・・。

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◆2005年1月20日

 夕方6時から愛知県の化粧品組合の「新春のつどい」。ことしで3年連続して、名古屋駅の上に立つセントラルタワーズのホテルマリオットの51階の宴会場での開催。ちょっと身の程知らずのような気がしてしかたない。組合員さんの会費10000円也!

 現にメーカーの参加者の中からは、「いつまでこういうところでされるんでしょうね」という声があったという。参加者からの会費で運営していて、組合会計からは補填をしていないので、参加者が役員さんたち中心となっていることに対して非難を受けることはないし、一応、広くすべての組合員さんに開催の告知はしている。メーカーさんからは少し割り増しの会費を取っていて、その差額がパーティアテンダントの費用となっている。

 年々、組合員の側もメーカーの側も出席者の数が減ってきて、今や50人を割り込んでいる。このくらいの人数なら、ちょっとした居酒屋でも受け入れ可能な人数だ。そうすれば飲み放題をつけても5000円もあればかなり豪勢な宴会ができるはず。本当に懇親・歓談・情報交換が目的ならば、夜景のきれいな名古屋有数のホテルの宴会場でなくてもいいはずではないか、パーティアテンダントを入れる必要があるのかとも考えてしまう。

 先に書いたメーカーさんの声というのは、まさにそのことをいっているのだろう。県内各地で、本当に地元の組合員さんたちが数多く集まるような、いわば「タウンミーティング」のようなかたちもありだろうし、いっそのことスッパリ取り止めて、メーカーさんの会費相当分を他の販促の予算とするという選択肢もあるのかもしれない。「厳しい」と口癖のように言っているのにやっていることは・・・とも思う。

 「新春のつどい」に先だって例年どおり開催されたメーカー各位との意見交換会の段取りの悪さも気になってしまった。化粧品組合に向ける目が批判的に傾きがちなのは、心が離れはじめているからなのか?

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◆2005年1月24日

 夕方から夜にかけて、全粧協がデータを提供している「街のお化粧品やさんMAP」を運用しているI社との打ち合わせ。今回は先方が名古屋まで出張してくれることになった。話が全粧協に持ち込まれた最初からずっと関わってきたコンテンツだ。 I社としては、サイトを利用するユーザーに対しての利便性を高めるコンテンツとしての期待があり、全粧協としては人気のコスメサイトの中でお店をアピールできるという「個店の力では実現できない」大きなメリットを加盟店に提供できるという、ある意味「相思相愛」のコンテンツだ。

 現実には「街のお化粧品やさん」にそのメリットをじゅうぶんに理解していただけなくて大成功とはいえない状態ではあるが、あの手この手と魅力度アップを図る手だてを講じてきた。ネット界では有数のコスメサイトの主宰でもあるYさんが先方の窓口だ。彼女にはここ2年間の「年次大会」に出席してもらっているし、「MAP」以外のわたしの仕事についてもかなり知ってもらっている。

 話が動き出した当時はまだ20人くらいの規模の会社だっただろうか。渋谷のオフィスに伺うと、専門学校が使っていたという間取りのビルのフロアだったせいか、会社というよりもサークルのノリのような活気を感じた。みんなでひとつのものを作り上げるためにお互いの力をぶつけ合っているというようなその雰囲気にうらやましさを感じてきた。

 昨年の夏には乃木坂にオフィスを移転。サイトによれば今は90人の社員をかかえるまでになっている。通販サイトを立ち上げ、大手出版社と提携をし、東京国際フォーラムで大がかりなコスメイベントを開催したりと、グングンと成長していく姿をずっと傍から見てきていた。そして、この先まだまだ大きくなっていくだろうということは想像に難くない。なにせ取締役が全員30代、会社全体の平均年齢は20代なのだから・・・。

 ここまで書いてくれば、わたしの中で「ここなら」、もとい「ここで」と思い描いていた会社がどこかというのはわかるだろう。サイトのリクルート情報をみると、中途採用を積極的に行っているのがわかる。そしてここもまた完全実力主義で、学歴は不問となっている。ただ、わたしのような「おじさん」が収まるようなセクションが果たしてあるのかどうかはいささか、いやかなり疑問だ。

 でも、悶々としていてもしかたない。今夜、必要な打ち合わせがおわったら、思い切って思いの丈をぶつけてみよう。気持ちはキッチリ固まった。

 これまでは先方のオフィスだったり、こちらの事務局だったりでの打ち合わせがほとんどだった。日程を決めようという話の中で、このところ仕事がたて込んでいてオフィスに缶詰めなので息抜きに抜け出したいと聞いていたので、いきなりビールだの酎ハイだのを前にしての打ち合わせというのもどうかとは思ったけれど、今回は、敢えてアフター5のミーティングという設定にしていた。それも「世界の山ちゃん」にお連れしようというのだから、ちょっとくだけすぎか・・・。

 新幹線改札口の外で到着を待つ。改札からでてきたのはYさんと、現場での担当であるNさんの2人だった。名古屋名物手羽先の唐揚げを食べながらのミーティングはなめらかになごやかに進行していく。結果的にはあっという間の4時間強。東京への最終のぞみの直前まで盛り上がった。ある意味「お酒の効用」と言えるかもしれない。しかし、Nさんが同席という手前、さすがに「思いの丈」をぶちまけることはできなかった。

 結構呑んだはずなのに、頭のすみずみまで冴えわたっていた。そう、きょうを逃してはいけないのだ。長いメールを認めはじめた。のぞみが東京に到着するまでにはまだ時間がある。

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◆2005年1月25日

 メールで思いの丈がキチンと通じるだろうか? 通じたとして前向きに受け止めてもらえるだろうか? もし「門前払い」としなくてはいけないとなった時、今後も「MAP」を担当していくということについて先方に気まずさを与えてしまうことになりはしないか? 何度も読み返してから送信したものの、「まずかったかなぁ」という気持ちがわきあがる。ようやく「まぁ、いいか」と踏ん切りをつけて眠りについたのは1時を回っていた。

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 (略)2度の年次大会をつうじ、「街のお化粧品やさん」に守りから攻めへとアピールし続けてきた人間が「何を言っているの」というふうに思われるかと思いますが、本音で申し上げますが、うちのような中途半端なクラスの店舗は、もっとも厳しい現況化にあります。

 だからといって、安易に投げ出そうと思っているわけではないのです。この10年近く全粧協に引っ張り上げてもらい、それはそれは。お金で買えない貴重な経験を積ませてもらいました。男として、同じ街のお化粧品やさんのご主人たちの誰よりもいろいろなやりがいのある役割をさせてもらったと思っています。

 ただ、「やりがい」「評価」は正直うれしいし、張り合いではありますが、そのことでは生活できないというジレンマがあります。ここ2〜3年、仕事のやりがいとその結果に対する評価が、生活の糧となる道筋をとずっと考えてきました。最近ではファーストリテーリング(ユニクロ)さんの中途採用にも応募しましたが、残念ながら書類選考で落ちてしまいました。

 こういう考えをもっていることは、わたしを輝かせてくれた多くの人たちへの裏切りになるということは重々承知していますが、足許の厳しさ、ことし50という年齢を考えた時、今しか踏み出せない一歩と思っています。(後略)

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 定休日明けの火曜日の営業がはじまったが、なんとなく落ち着かない。メールチェックをするたびに振り分け先のフォルダを気にするが、午後になっても夕方になっても返信はなかった。う〜ん、やっぱり困らせてしまったんだ。という思いがふくらんでくる。「あり得ない話なのに無下に断ったら今後の全粧協さんとのやりとりに支障をきたすし・・・」と対応に苦慮されているのだろうと、後悔の念も浮かぶが今さら取り返しはつかない。

 寝る前に最後のメールチェックをする。夜23時過ぎに発信された返信が届いていた。朝から取締会やら株主さんへの説明会の準備やらで返事が遅れたというお詫びからはじまったメールには・・・

 「驚きとともに、素直に非常に嬉しい気持ちでおります。こちらこそぜひ前向きなお話をさせて頂きたいと存じます!」と「!」までついていた。ただ、「伊藤様がお持ちの知見やお力を100%発揮して頂ける良い環境を我々が本当にご用意できるのかどうか、より慎重にお話合いさせて頂かなければとも思っております。」と続けられていて、若くスピードのある会社の中で、おじさんの働き場がほんとうにあるのかというわたしの感じている懸念が先方にもあることが浮き彫りとなった。

 でも、真摯に受け止めてもらえたことには素直に感謝。嬉しいと言ってもらえたことにはこちらも小躍りするようなよろこびを覚えた。2月中旬に全粧協の全体協議会(全委員が集まる大きな会議)が決まっていて、その上京の折に実際にお会いして話をすることを決めた。一歩、いやかなり大きく踏み出したような気がしている。

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